目次
まとめ
- ミスが多いしなかなか成長しない困った部下がいる
- コーチングの本を読む
- 承認し続ける→部下のモチベーションをあげて成長を促す!
- 心に火をつける→真剣に仕事に取り組む!
- ”失敗する権利”を与える→信頼関係を築き、のびのびと仕事してもらう!
困った部下
僕は新製品開発の組み込みソフトウェア部門の設計リーダーをやっています。
部下が4人ほどいますが、そのうちの一人に頭を悩ませています。
便宜上A君とします。
A君は、
- ミスが多いし同じミスを何度もする
- 要領が悪い
- あまり自分で考えようとしない
とういうふうに見えてしまいます。
ミスが多いし同じミスを何度もする
A君はコーディングや作業のミスが多いため、こちらとしては常に注意してみておく必要があります(疲れる)。
また、「こういう理由だから、こういうやり方はダメだよ」と丁寧に教えているつもりですが、同じミスを何回も繰り返します(疲れる)。
A君は注意するたびに反省した様子ではあるのですが、なかなか成長が見られません。
なぜなんだろう。
要領が悪い
作業のスピードも速いとは言えません。
作業内容を確認すると、もっと要領のいいやり方があるだろうと思うことが多いです。
技術者なんだから効率的な作業方法を自分から見つけていくべきだと思います。
あまり自分で考えようとしない
すぐに「答え」を聞いてこようとします。
あの、学校じゃないんだから別に答えを用意していないんだけど…。
アウトプットを出してくれれば、その妥当性を評価することはできるけどね。
また、何かデバッグしているマシンにトラブルがあった時もほかの先輩社員にすぐに聞きに行きます。
(マシンを壊して怒られると思うのか、そういう時はあまり僕に聞いてきません)
何が起きたのかもう少し自分で考えて解決方法を見つけてもらいたいものですが…。
なんでも教えてもらえると思っているみたいです。
自分で考えてもわからないことは聞くべきだと思いますが、何でもかんでもすぐにほかの人に聞くようでは自主性は育まれないのではと懸念します。
コーチングの本を読む
なんとかA君の成長を見込めるように、コーチングの本を読むことにしました。
鈴木義幸さん著作の「コーチングが人を活かす」です。
読んでみて、「なるほど、そのとおりだ」と思うことがたくさんありました。
困った部下に対するコーチングでとくに勉強になったことは以下のとおりです。
承認し続ける
本来”叱る”というのは、相手がミスをしたり、間違ったときに、”言い訳させずに、だめなことはだめだったと認識させ、けじめをつけさせ、次に向かわせる”という行為です。
多くの場合、上司の感情的な反応でしかないことが多い。
この文章を読んで、少しギクッとしましたね。
A君がなんども同じミスを繰り返すと、そのたびに怒りがわいてきてしまいます。
(時間がないのに同じミスで時間を無駄にするなよ・・・)と。
自分が思った通りに動かないのは気に入らない、だから叱る。
自分が言ったことをやらないのは頭にくる、だから叱る。
まさしく僕が感じて行動してしまっていることに当てはまると思います。
おそらくA君としては良かれと思ってこちらの意図とは違う行動をしているのだと思います。
それを否定するのは簡単だし、指摘した瞬間はこちらとしては
「言ってやったぞ!」
という気持ちになってすっきりはするかもしれません。
でも、それではA君は委縮するか不貞腐れるばっかりで成長は望めませんよね。
だからといって反応することが習慣になっている人が、反応しないと決めるのはなかなか難しいものです。
何も言わずに我慢するのはストレスが溜まりますしね・・・。
なので、反応する以外の新しい行動に意識を向ける。
それが”承認し続ける”なのです。
部下の言動や行動を見て、どんな小さなことでもポジティブなものを発見したら、そこに言葉を投げかけろと筆者は言っています。
確かにA君も、改善しつつあるところも見受けられます。
- こちらが言った内容を最後にまとめて繰り返して依頼の取りこぼしがないようにするようになった
- 報告の際に対応済みの内容が一目でわかるようにリストを作ってくれた
考えてみればこんな改善した箇所がありました。
A君もチームの戦力として成長しようとしているんだ、と思えてきます。
だめなところばかりに目が行ってしまいがちでしたが、いいところをほめてモチベーションをあげてみようかと思います。
ファイアー|心に火をつける
コーチングをパズルのピースにたとえるなら、中でも重要なピースは”相手の自発性をうながす”ことです。
自分でやろうと思ったことは、人からああしろこうしろといわれたことよりも、ずっと実際の行動に移す可能性が高いのです。
間違いないですね。
自分から始めたことは、より主体性を持って取り組めますもんね!
A君はまだまだ受動的なところがありますが、主体性をもって仕事に取り組んでもらいたいです。
さらに加えて筆者が重要視していることは、
ファイアー、心に火をつける
ということです。
ファイアーとはストレートな行動のリクエスト。その目的は、相手の高騰に対する意識を瞬間的にグッと高め、「よし、やるぞ!」と心の中で言わせることです。
それをA君に思わせるのはなかなか難しいことのようですがやる価値はありそうです。
なにか課題に直面した時に
ああしろこうしろ、と命令するかのように言うのではなく、一緒に考えて最終的にはA君が
「こうやってみます!」
と納得して行動できるように仕向けたいと思います。
(仕向けるという考え方はよくないか・・・?)
次の行動が決まったその時に、
「かならずそれをやってくださいね」
と真剣なトーンで語りかける。
この時に二人の間に一種の”神聖な空気”が流れるのを感じたら、A君が本気になった証拠です。
それこそが、心に火をつけた瞬間です。ファイアー!
失敗する権利を与える
あなたはこれまで、なにか新しいことを学ぼうとしたとき、仕事でも、勉強でも、あなたの上司、先生、親はどれくらいあなたに、”失敗する権利”を与えてきましたか。
この文章もドキッとさせられるものでした。
今まで数々の失敗をしても、それを許容してくれる人たちがいたからこそ、今僕はここにいられるんだ・・・、と思い出させてくれました。
すなわち、失敗を悪として追及せず、成功へのステップとしてとらえ、その間じっと見守り続けてくれたでしょうか。
僕の尊敬する元上司はとても厳しい人で、よくない仕事をする人に対しては怒りをあらわにする人でした。
そんな元上司が、僕が盛大にやらかしてしまったときに怒ることなく優しい表情で
「次から気をつけろよ」
とシンプルに言ってくれたことを思い出します。
僕もA君に対してそうあるべきだと思います。
A君が失敗を恐れてのびのびと仕事ができないようになってしまっては、成長は望めません。
成功するにはその前提として失敗が不可欠である、そう思っています。
”失敗する権利”を与えることが、相手の自発性を生み出すことに結びつくからです。
いつも部下の失敗にカリカリしている人は、自分がどのくらい相手に、”失敗する権利”を与えているのか、一度立ち止まって考えてみるのはいかがでしょうか。
おわりに
この本にはコーチングのスキルが全部で62項目記載されています。
今回はA君育成のためにそのうちの3項目を引用したにすぎません。
それ以外の59項目も、どれも機会があるごとに読み直して自分のコーチングのあり方を見直すのに役立つと思います。
ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。