アイスティー大好き_組み込みエンジニア

買ったものや読書のアウトプット、仕事のこと

アジャイルなプロジェクトでカンバン方式によってタスク管理している話

カンバンを導入するにあたり、大事なことはすべてこの本で学びました。

まだまだ勉強中ではありますがまとめておきたいと思います。

  • カンバンに興味があるけどいまいち何をすればいいのかわからない。
  • カンバンってどんな効果があるの?
  • 導入したいけどどうやって始めればいいのか・・・

という人たちにおすすめです。

 

 

どの現場でも共通の課題

この本の第1章はストーリー仕立てになっており、読者の悩みに寄り添うような形になっています。

僕が職場で抱えている悩みにも重なる部分が多々ありました。

ちなみに僕は機械メーカーで組み込みソフトウェアエンジニアをやっています。

部下は4人ほどいて、新製品開発のプロジェクトで設計リーダーをやっています。

この本のストーリー部分で挙げられている課題は以下のとおりです。

  • 納期によく遅れる
  • 見積もりが不正確なことが多い
  • チームは仕事に追われている
  • 優先度がよくわからない
  • いろいろなところからチームに仕事がくる
  • 誰が何をやっているのかよくわからない

カンバンはこの手の課題から逃げることなく向き合い、チームみんなで解決していくための手法です。

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うちのチームのカンバンです

仕事を見える化する

隠れている仕事を明らかにする

それぞれのメンバーが抱えている仕事を付箋に書き出して、それをはりつけます。

僕も自分のチームでこれをやったところ、

「え!?みんなこんなに仕事あったの!?」

と、驚くべき量の仕事を各自が抱え込んでいることが明らかになりました。

設計リーダーが思っている以上に、各メンバーが多くの仕事を隠し持っていることがあります。

カンバンによって各メンバーが持っている仕事を誰の目にも明確にしていきます。

こんなことが見えるようになる

誰がその仕事をやっているか

たまに「あれ、この仕事は誰がやってるんだっけ?ちゃんと進んでるのかな」

と不安になるときがありましたが、カンバンを始めてからはまったくその心配がありません。

タスクはホワイトボードに貼られていますし、毎朝デイリーMTGでその状況を確認しているからです。

各作業者も自分の仕事の範囲が明確になってやりやすくなったことでしょう。


自分が何をやっているか

自分が何をやっているかわかるようになる。

「自分が何をやっているかわかるなんて当たり前だろ」

と思うかもしれませんが、人によってはこれもひとつのカンバンの恩恵となりえます。

僕なんかはそうでした。

僕はけっこう複数の仕事をちょっとずつ着手してしまう癖がありましたが、どの仕事もスムーズにいかないとストレスがたまってくるんですよね。

たくさんのことに着手しすぎると効率も悪くなります。

カンバンによってタスクが見える化されたことで、たくさんのタスクに着手することはできなくなりました。

(ほかのメンバーの目があるので・・・)

それによって一つ一つの仕事へのコミットをしっかりせざるを得ないので、結果的に一つ一つの仕事の質が上がったように思います。

僕のようなたくさんの仕事の手を付けてしまう困った癖のある部下がいる場合、その仕事方法の矯正ができます。

 

どれだけの仕事が行われているか

どれだけの仕事が現在進行しているのかぱっと把握できることはカンバンの大きな利点です。

割り込みの仕事が発生した時など、まっさきにカンバンの状況を確認してスケジュール調整の検討を始めることができます。

メンバーに仕事を振るときも、

「このタスクはいったん後回しにして、この割り込みの仕事をやってください」

と簡単に優先順位の説明をすることができます。

 

カンバンは情報を周囲に放射する

「放射する」

英語で言うとRadiationですね。

というのがよくわからないかもしれませんが、実際に導入してみると情報が周囲に放射されているのを実感できます。

付箋の情報がそこに貼られていることで、その目の前に人が集まり、それぞれのタスクについて話し合いが行われます。

他部門の人たちもそのカンバンをみていかに組み込み部門が仕事をこなしているかがわかるようになりました。

「仕事量えぐ・・・。10人くらいで回してるならわかるけど、5人くらいだよね・・・?」

と実際に言われました。

いかに自分たちの仕事量が多いかをアピールしてリスペクトを得ることが、少しずつですができています。

ワークフローを作る

僕のチームのワークフローは以下のように分かれています。

ワークフローの分け方は各チームで合うようにアレンジしていくべきです。

その際、みんなで話し合いながらカンバンを作成できるといいですね。

誰かの独りよがりで始めてもなかなかうまくいきません。

Todo

未着手のタスクが並ぶ領域です。

優先度順に並べておきます。

付箋がたくさん並んでいるとげんなりしてきますが、だんだんと終わりが見えてくると元気が出てきます。

全部のタスクは「ToDo」エリアに載せきれないので、別のPCツールでもバックログしてあります。

分析

そのタスクで成し遂げるべきことはなにか、注意すべきことはなにか、といったことを洗い出します。
要件定義、仕様検討といった段階です。
アウトプットとして機能仕様書を作ることもあります。

設計

機能実現のための詳細設計、コーディング、単体テストを実施するフローです。
アウトプットとして詳細設計書、コーディングのgitへのプッシュ、単体テスト結果などを作成することがあります。

受け入れ

本番環境に実装内容を組み入れるフローです。
うちの現場では、gitのmasterブランチにたいして個別の開発ブランチをマージする段階です。

おもに設計リーダーである僕の仕事です。

「受け入れ」だけは「待ち」と「済み」の区画を作りました。

以前は

「もうmasterにマージしていいの?」

といちいち確認していましたが、今では「待ち」に入っていればマージしてほしい、という意思統一ができているので確認の手間が省けます。

テスト

組み込んだ本番環境をROM化して、実際のマシンに書き込んでテストします。

アウトプットとしてテスト項目書を作ります。

人が足りなくて今のところ滞りがちです。

もっとスムーズに流していかないとバグの混入を発見できないのですが、改善の余地ありです。

完了

そのタスクが完了したことを示します。

一定期間が過ぎたら付箋を取り除きます。

 

付箋の色を区別する

付箋の色は以下のように区別して使っています。

  • 緑:機能実装
  • 赤:バグ修正
  • 青:その他(ドキュメント作成や開発環境の手入れなど)

色分けをすることで視覚的にさらにわかりやすくなります。

ただし色を使いすぎると逆効果かもしれません。

仕事量を制限する

これは非常に大切なことです。

カンバンでは仕事量を制限して着手できるタスクの数をできる限り少なくします。

どうしてそんなことをするのかというと、

特に団体で仕事をする場合、多くのことに着手すればするほど効率が落ちる

からです。

(個人でもそうですが)

この仕事量を制限することは、WIP制限(work in progress)という専門用語で呼ばれています。

仕事量を制限しないとどんどん設計とか分析に仕事が入ってしまい、手を付けられなくなります。

(僕の職場の最初の状況がそうでした)

仕事量を制限すると各人が仕事を始めることではなく、仕事を終わらせることにフォーカスするようになります。

いまでは抱えていい仕事数を制限できたので一つ一つのタスクがスムーズに進みます。

例えば僕の職場では、

「分析」WIP制限4

「設計」WIP制限6などと決めています。

WIP制限は正解はなく、各職場に合うように試行錯誤していくものだと、本に記載されています。

今後も状況に合わせて最適なWIP制限を考えていく必要がありそうです。

カンバンはこのような立ち止まって考える機会を与えてくれるところがすばらしいところです。

これがカンバンによる見える化のチカラというものです。

小さいけど大切なルール

ボールペンではなくサインペンで書く

小さい文字で書いてしまうと人々の理解を妨げ、チームへ参加する感覚も失わせるとのことです。

付箋はカールしないようにはがす

付箋をはがすときに角度をつけてはがすと、付箋がカールしてしまいホワイトボードにくっつきづらくなります。

優しく角度をつけないようにはがしましょう。

チームのみんながけっこう付箋のはがし方を把握していないことにちょっとびっくりしました。

一度剥がれにくくなった付箋には、ずっとハラハラさせられることになります。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

カンバン仕事術という本は、これからカンバンをチームに導入してみたいという人にとって最適な本だと思います。

今のあなたの状況から、カンバンを始めることができます。

そしてカンバンによってどんどんチームを向上させて生産性を高めていきましょう。

 

日本ベッドのマットレスは買ってマジで損はない

 

マットレス買いました

新居に引っ越すのを機にマットレスを買うことにしました。

色々調べていくと、やはり最近話題のコアラマットレスが気になっていました。

マットレスの上で跳ねてもワイングラスが倒れないというインパクトのある売り文句が印象的でしたからね。

https://koala.com/ja-jp/mattresses/mattress

 

また、アウトレットでテンピュールマットレスも試しました。

とても柔らかい寝心地で気に入りました。

https://jp.tempur.com/mattress/

 

なので買うならこのどっちかかな~と思っていましたが、妻がほかのマットレスも見てみたいということだったので家具店に行きました。

 

そこで出会ったのが日本ベッドのマットレスでした。

マットレス | 商品カテゴリー | 日本ベッド -眠りから暮らしを考える

 

日本ベッドのマットレスは上記2つとは違い、コイル式のマットレスです。

(上の2つはウレタン式)

ウレタン式の低反発マットレスがいちばんいい、と思っていましたが、コイル式の日本ベッドのマットレスはこれはこれでいいぞ・・・という感じでした。

かなり悩みましたが総合的に考えた結果、日本ベッドのマットレスを買うことにしました。

買う時の判断材料は以下でした。

  • フィット感
  • 寝返りの打ちやすさ
  • 耐久性
  • 蒸れにくさ
  • 値段

フィット感

ポケットコイル式のマットレスは、一般的にフィット感は無難な感じだと思います。

体形にばっちり合えば、ウレタン式のほうが優れているかもしれません。

しかし、ポケットコイル式のなかでも日本ベッドのポケットコイルは一味違います。

普通のコイル構造

これは日本ベッドではない一般的なポケットコイルマットレスのコイル構造です。

コイルが縦横に等間隔に配置されています。

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普通のコイル構造
日本ベッドのコイル構造

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千鳥組みのコイル構造

日本ベッドのコイル構造は「千鳥組み」と呼ばれる構造です。

より高密度にコイルを敷き詰めるためにこの方法を取っています。

通常のコイル式のマットレスは600個のコイルが入っていますが、日本ベッドのマットレスは倍の1200個のコイルが入っているそうです。(お店の人情報)

これによって非常に素晴らしい寝心地を生み出しています。

実際にお店で寝比べてみましたが、日本ベッドの寝心地のよさは段違いでした。

 

寝返りの打ちやすさ

低反発ウレタン式であるコアラマットレステンピュールと比べて、コイル式の日本ベッドは寝返りがうちやすいです。

ウレタン式は体がマットレスに沈み込んでしまうので寝返りがしづらいんですよね。

僕はけっこう寝返りするほうなので、気になる観点でした。

 

耐久性

コイル式は耐久性に優れています。

人が寝た時にマットレスにかかる荷重が全体的に分散される(特定の箇所だけに強い荷重がかかることがない)ので、ずっと使えるということです。

お店の人は「一生ものです」と言っていました。

一生使えれば万々歳ですが、少なくとも10年は使えるんじゃないかと思います。

また、コイル一つ一つに熱処理と防錆加工が施されていて、耐久性を高めています。

こういった細部へのこだわりも日本ベッドのクオリティと言えるでしょう。

蒸れにくさ

ウレタン式と比べて、ポケットコイル式は蒸れにくいことが大きな利点です。

夏の蒸し暑い時などのベッドの蒸れは眠れないほどキツいですからね…。

値段

日本ベッドのマットレスの値段はかなり高いです。

シングルサイズ2枚で26万円くらいでした。

少し値段負けてもらいましたがそれでも高いです。

ただ、毎日の眠りの質を上げるための投資だと思って払いました。

 

いちおう自己紹介

  • アラサー既婚男性
  • 身長:普通
  • 体形:やせ型
  • 仕事:プログラマー
  • 眠りに質にはこだわるほうです。
  • 睡眠がしっかり取れていないと、もろに仕事などの活動に影響します。

実際に使い始めて

使い始めて一週間ほど経ちました。

今のところとても快適です。

ぼくはプログラマなので腰とか肩とかクビに負担がかかって痛む時があるのですが、マットレス変えてからはかなり体が軽い感じがします。

いい感じです。

 

使い始めて3か月たった時の記事がこちらです。

ぜひ参考にしてください。

日本ベッド、すばらしいです。

keyhustle.hatenablog.com

日本ベッドのマットレス

有名アスリートも使っている

お店の人から聞いた話ですが、イチロー選手はアメリカに日本ベッドのマットレスを持っていったそうです。

それだけ気に入っていたのでしょうね。

また、スキーの上村選手も長年愛用しているとのことらしいです。

 

有名なホテルでも使っている

日本ベッドは星野リゾートでされているというのはかなり有名な話みたいです。

有名ホテルと同じ睡眠環境が自宅にあると思うと胸が躍ります。

 

おわりに

マットレスは大きく分けて3種類あります。

高反発ウレタンタイプ、低反発ウレタンタイプ、コイルタイプ。

それぞれの利点があるので、比較しながら自分に合ったものをじっくり考えることをおすすめします。

カンバンを開発プロセスに導入することに成功しました

このたび、ふと思い立ってカンバンでタスク管理を始めました。

始めてからまだ3日ですが、今までのところを書いておこうと思います。

ぼくは地方の機械メーカーで組み込みソフトウェアエンジニアをやっています。

今は新製品開発プロジェクトの組み込み部門の設計リーダーをしています。

部下は4人です。

 

 

なぜカンバンを始めようと思ったか

割り込み業務が多すぎるから

割り込み業務がとても多いです。

毎日のように新しい割り込み業務が入ってきます。

(メカ、電気、その他関連部門から次々ときます)

納期はもちろん「できるだけ早く」です。

ASAP (As soon as possible)です。

いままでRedmineというタスク管理ツールをつかっていたのですが、割り込み業務が発生するたびに各タスクの納期をずらさなきゃいけないのがあまりにも苦痛で、タスク管理が崩壊しつつありました(笑)

そこでカンバンによるタスク管理が頭に浮かんできました。

チームの人数に対して業務が多すぎるから

チームの人数は僕も含めて5人ですが、シンプルに仕事量が多すぎるんですよね・・・。

新製品の開発スパンはおおよそ1年ですが、その間にやらなければいけないことが多すぎる。

通過しなければならないゲートが多すぎる。

無駄なく短納期で正確にこなしていくにはカンバンによる見える化が最適なのではないかと考えました。

今の開発スタイルは何かというと・・・

今の開発スタイルは何か。

ウォーターフォール

アジャイルスクラム

答えるとすれば「フリースタイル」です!(笑)

とくにスタイルがないんですよね。

数年前まではいちおうウォーターフォールだと言われていました。

最近では開発プロセスの見直しがあり、「数週間の間に達成することを決めてPDCAを回せ。それを反復しろ」

と言われていたのでいちおうスクラム方式なのかもしれません。

ですが、あまりの割り込み業務の多さと仕事量の多さによってぜんぜん無理です。

その制度は速攻で形骸化しました。

他部門にも見える化したい

過去記事にも書きましたが、カンバンを採用したい理由の一つとして「他部門にも見える化したい」ということがあります。

ぼくの会社ではメカや電気部門に対して組み込み部門の力関係がすこし(けっこう?)弱いみたいです。

  • メカや電気部門にデバッグ用のマシンを無断で取られたり
  • 無茶な納期で頼みごとをされたり
  • メカや電気の設計ミスのしわ寄せがきたり
  • 挙句の果てには不具合の責任を追及されたり

といった具合です。

(隣の芝が青く見えているだけなのかもしれませんが)

他部門にも見える化することで、組み込み部門がどれだけ仕事を抱え込んでいるかわかってもらえるかもしれません。

それによって無茶な納期を押しつけられることが少なくなるのでは、と少しだけ期待しています。

また、

  • 組み込み部門は何をやっているのかわからない
  • 仕事が遅い
  • すぐバグを発生させる

というイメージも持たれています(泣)

そのせいか他部門に比べて考課査定の評価が低い気がします・・・。

(気のせいだといいのですが・・・)

カンバンによって何をやっているのかわからせ、仕事がちゃんと進んでいることを見せ、プロセスもしっかりこなしているぞ!とアピールしていきたいです(笑)

 

過去記事のリンク

他部門への愚痴を書くとついつい長くなってしまいます。

「カンバンを導入したいなあ」という記事は前にも書いたのでよかったら読んでください。

keyhustle.hatenablog.com

 

参考にした本

カンバンを導入するにあたり参考にした本は以下の2冊です。

どちらも導入するためにかなり参考になりました。

カンバン仕事術

こちらの本がとくにおすすめです。

とてもわかりやすく、本の序盤がストーリー仕立てになっているので読みやすいです。

また、カンバンをやっていく上での心得やテクニック、ユースケースも豊富に載せてくれているのでそれぞれの職場にあったカンバンを作れるようになる本だと思います。

なぜ表紙は徳川家康なのでしょうか?

 

今すぐ実践!カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント

こちらもなかなかためになりました。

カンバンの基本的な方法はもちろん、上層部に導入の許可を求めるためのフォーマットまで用意してくれています。

また、こちらもカンバンをやっていく上でのさまざまなトラブルシューティングを掲載しているので参考になります。

 

どのように導入したか

事前にちらっと話した

「ところでみんな、タスク管理なんだけどRedmineがあんまりうまくいってないとおもうんだよね。

そこでカンバン方式を取り入れたいなと思って。

カンバン方式って知ってる?」

と切り出したところ、4人中3人は首を横に振っていました。

1人(とてもできる若い子)は

「○○さん(別プロジェクトの人)がデスクの前でやっているやつですよね?」

と言っていました。

ほとんどみんなカンバンというものを知らない状況だったのです。

(ぼくも本でかじった程度ですが)

そこでインターネットの記事を画面共有で見せながらカンバンがどんなものかちょっとだけ説明しました。

そして、ぼくはこう言いました。

「カンバンを導入したい理由は2つあります。

ひとつは、割り込み業務が多すぎてRedmineでは管理しきれないから。

カンバン方式は割り込み業務に対してかなりフィットできる方式です。

これを使って見える化することで、それぞれのタスクをこなしていきやすくなると思うんですよね。」

みんなまだイメージはあんまりわかないようだけど、ある程度は納得してくれたようでした。

Redmineがしっかり機能していないことは、やはりみんなの実感としてあったようです。

「そしてもう一つの理由は、他部門にも見える化したい、ということがあります。

よく他部門から組み込み部門は何をやっているかわからない、と言われるけどカンバンによって見える化してわからせてやりたい」

と続けていったところ、ぼくと年の近いメンバー2人から苦笑とともに同意を得られました。

比較的若いメンバー2人はそんなに実感としてないようで、微妙な表情でした。

ウィークリーMTGの場で概要を説明した

その翌週、ウィークリーMTGの場でカンバンとはどのようなものか、どうやって進めていくのか説明しました。

基本的な流れはこうです。

  • バックログ(未着手のタスク)
  • 分析(仕様検討、不具合原因分析など)
  • 設計(詳細設計、実装、不具合修正など)
  • 受け入れ(成果物を確認してgitのmasterブランチにマージするなど)
  • テスト(製品のROMとなったものをテストして動作検証するなど)

 

また、付箋の色によってタスクの種類を分けました。

(カンバンで使用するのは物理的なホワイトボードと付箋とサインペンです)

その時に出た質問

Q1

「他部門の事情などによりタスクを途中で中断しないといけない場合がけっこうあるが、そういう時はどうするのか」

A(ぼく)

「中断されたタスクもフローのその場に残す。設計で中断している場合は、そのまま設計のフローに置いておく。ただし、小さい付箋などで中断している理由を記載しておいてください」

 

Q2

「ほかの業務を差し置いて急いでやらなければいけないタスクが急に発生することが多々ある。緊急用のレーンを作っておいたほうがいいのでは?」

A(ぼく)

「そのとおりですね。カンバンを導入する目的のひとつが緊急の作業を見える化することです。緊急用のレーンを作ります。ただし、レーンに載せていいタスクの数はひとつだけ。また、緊急のタスクが行われているときは、通常の業務が滞っていることを忘れないようにね」

 

Q3

「各フローの終わりの定義を明確にしたほうがいいのではないか」

 

A(ぼく)

「そうですね。それぞれの思っている終わりの定義が違っていると位相が合わなくなってしまいます。まずはカンバンによるタスク管理を軌道に乗せることに集中したいですが、慣れてきたらその辺もしっかり定義するようにしましょう」

(※ふつうは分析、設計などのアウトプットは何かという定義は当たり前に存在するのかもしれませんが、うちの会社はそうでもないのです・・・)

その時できあがった最初のカンバンの姿

「じゃあさっそくみんなが今かかえている作業を付箋に書いてみましょう。

書き終わったらその作業がいまどのフローに属するのか考えてはりつけてください」

それでできあがったカンバンがこれです!(字が汚くすみません・・・)

付箋に書かれている内容はぼかしました。

とりあえず、バックログ、分析、設計のタスクのみを入れました。

 

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いちおう各メンバーの作業内容は把握していたつもりですが・・・こうしてみると設計のフローにある作業が多すぎますね。

5人のメンバーで10個ものタスクが設計にあります。

まずはここを減らしていきたい。

さっそく見える化することで実感できることがありました。

 

カンバンを導入して3日たちました

そしてこれが3日後のカンバンです。

今のところデイリーMTGもやりつつカンバンを更新し続けています。

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"設計"の文字の下に(8)という数字を書きました。

「設計に存在するタスクは8個までにしましょう」

という意味です。

カンバン用語ではWIP(Work in progress)制限というそうです。

ますは設計のタスクは常に8個以下になるように努めます。

 

WIPも今後しっかり導入していきたい

今は設計のみWIPを8としていますが、ほかのフローに関してもWIPを設定して作業のフローがうまく流れるようにしていきたいです。

また、設計も8ではまだ多すぎるので6くらいにしたいです。

 

チームの変化

見える化されたことでやりやすくなった気がする

何を優先してやるのか明確になった

ある日の定時すぎにメカの設計リーダーからある機能についての追加実装の依頼があり、MTGをやりました。

追加実装はそこそこのボリュームがあり、納期は3日後(もう定時すぎだったので実質2日後)でした。

その作業を担当するメンバーはほかの業務をやっている最中でした。

ですが、カンバンでタスクの状況が見える化できていたので

「今はこれをやっています。ですが、今回の追加実装を優先して進めることは可能です」

というのをカンバンの前で説明してくれました。

カンバンがあるおかげで、今やっているタスクの中断、別のタスクの優先度アップという情報を、意図を間違えることなく簡単に共有できました。

これは管理する側のぼくとしても、作業者からしてもとても安心できることだと思います。

他のメンバーの状況がわかることで協力しやすくなった

デイリーMTGでカンバンの状況を確認したあとに、別途話があるメンバーは集まって

「さっきの件だけど、こういう風にやるといいと思うよ」

とか

「過去のマシンでこういうことがあって・・・」

という情報のやり取りが活発化しました。

チームが生き生きとし始めたように感じます。

いちばん若い子にも成長の兆しが

以下の記事で言及していた、なかなか成長が見られなくて困っていたA君にも成長の兆しが見られました。

keyhustle.hatenablog.com

A君の作業がひと段落して、次はなにをやろうか?という時に

「設計のタスク数を減らすことが大事ですよね?それでは、このタスク(けっこうボリュームがあるやつ)の今わかっている範囲の不具合を修正したいと思います」

と言いました。

ぼくとしてはその作業をやってもらうことは全然頭になかったのですが、A君が進んで言ってくれたことが嬉しかったですし、言っている内容も正しいなと思いました。

これもカンバンで見える化したことで、A君が全体的な状況をつかめるようになったからかもしれません。

 

課題

各フローの終わりの定義が明確でない

カンバン導入時の質問でも出ていたことですが、いまのところ各フローの終わりの定義が明確ではありません。

分析であれば、例えば

「要件がすべて整理されていること」

などとしてカンバンに書いておきたいですね。

設計であれば、

「設計書があること、コーディングと単体テストが完了していること」

とか書いておきたいです。

そうなるとドキュメントにアウトプット結果をおこす必要があります。

しかし、プロジェクトの開発速度に遅れをとらないためには、すべてのタスクに対してしっかりしたドキュメントを作っている暇はありません。

なのでメモ程度でもいいので、それを要件定義書や設計書としてもいいかもしれません。

(もちろん複雑な実装に関してはそれなりにしっかりしたドキュメントは必要だと思います)

あとはドキュメントの管理をどのようにするかですね。

これはRedmineに紐づけるのもいいかなと考えています。

Redmineでタスクのスケジュール管理までするのは無理だと思いましたが、ドキュメントを紐づけておくためとしては有用なのではないかと思っています。

割り込みのタスクの扱いが難しい

割り込みのタスクが毎日のように発生します。

ちょっとした割り込みであれば、今のところ優先してささっとやってしまっている作業メンバーが多いです。

それは本来であれば「緊急」レーンという扱いになりますが、どうも今のところあまりそういう認識がないメンバーがいます。

ぼくもちょっとした機能の修正であればささっと片付けてしまいたい衝動に駆られますが、どうなんでしょう?

やは小さい作業であっても緊急扱いでないのなら、いったんバックログ(未着手)のタスクとして格納しておくべきなのか・・・。

これに関してはまだ模索中というところですね。

メンバーで話し合って決めていきたいです。

カンバンはみんなで作るものですからね!

基本的に一人一人が分析~テストまでのフローをやっている

僕の会社の組み込み部門は、基本的に各タスクに対して分析→設計→テストまでを一人の作業者がすべて担当しています。

カンバンを導入した今でも基本的には変わりありません。

しかし、かならずしもそうする必要はないのではないかと、カンバンの本を読みながら思い始めました。

カンバンで見える化することによって、作業の次のフローへの受け渡しも容易になるはずです。

あとは各フローのアウトプットが明確であれば、分析、設計、テストをそれぞれ別の人が受け持ってもいいわけです。

むしろ開発スピードを上げるためにはそのほうがいいのかもしれないと感じています。

これも今後の課題として取り組んでいきたいと思います。

おわりに

まだカンバンは始まったばかりです。

これから有用なものとなっていくか、形骸化してしまうのかはまだわかりません。

カンバンによる見える化で、さまざまな気づきを得られるはずです。

その気づきを見逃さずにプロセスの改善に常につなげられるかが、分かれ道になると思います。

今後もカンバンによる成果を確認していきます。

 

食洗機を買ったらある意味で後悔した

食洗機を買って使い始めた時、感動とともに後悔の念を覚えました。

どうしてもっと早く食洗機を買わなかったのか・・・。

いままで食器洗いに費やしていた時間はなんだったのか・・・。

という後悔です。

 

食洗機は1日の自由な時間を増やしてくれます。

複数人で暮らしている場合はもちろん、一人暮らしの人にも自信をもっておすすめします。

僕も一人暮らしですが、食洗機を使い始めてからQOLが爆上がりしました。

 

 

うちの食洗機の紹介

panasonic.jp

 

お試しの気持ちもあったので、パナソニックの一番安価なやつです。

  • 自動水入れタイプ
  • 18点(3人分)
  • 3万円ほど

食洗機のすばらしいところ

とにかく楽!

食器を並べて、洗剤をいれて、ボタンを2回押すだけ

これで1時間半後にはピカピカの食器ができあがります。

めっちゃ楽です。

神です。

 

すごくキレイになる!

楽なのはわかるけどちゃんとキレイになるの・・・?

と疑う人もいるかもしれません。

めっちゃキレイになります!

キレイになる理由としては主に以下が挙げられると思います。

熱湯

60℃~80℃くらいの熱湯で洗浄を行います。

これによって油汚れをしっかり洗い流します。

豚や牛の油が溶ける温度は40℃~50℃なのでばっちりです。

手洗いで40℃以上は熱いので難しいですよね。

 

食洗機用洗剤を使えること

手洗い用の洗剤とは違い、食洗機用の洗剤を使います。

手洗い用洗剤では使用できない洗浄力の高い成分によって、強力に汚れを分解します。

手洗いでは手荒れになってしまって使えない成分も使うことができるのです。

 

高圧水流と最適なシステム

パナソニックの技術者(OEMかもしれませんが)が研究に研究を重ねた最適な洗浄システムと高圧水流によって、頑固な汚れもがんがん落としていきます。

いままで洗っても取れなかったコーヒーカップの底の汚れもあっさりと取れます。

 

毎日食器洗浄のことを考えている優秀なエンジニアたちによって生み出された食器洗浄マシーンに、人間の手洗いがかなうはずがない・・・と思えてきますね。

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食洗機を導入する際の障壁

食洗機は買いたいけど設置するのが大変そうとか、パートナーが渋るから・・・とかが導入する際の障壁となりがちです。

置き場所と取り付け

置き場所と取り付けというのは一番難関に思えることかもしれません。

しかし上述したような食洗機の素晴らしさを体感するにはなんとしても乗り越えなければなりません。

このことはパナソニックでも認識しているようで、設置場所や取り付け方法のサポート情報を手厚く記載しています。

こちらもぜひご覧ください。

分水栓の取り付け方など

水道いじるの怖い!と思うかもしれませんが、案外簡単であることがわかります。

panasonic.jp

 

設置場所

設置場所はこんな感じがいいよ!というのを丁寧に教えてくれます。

また、設置場所がないと思ってもこんな方法があるよ!というのも書いてくれています。

panasonic.jp

 

食洗器は経済的

買いたいと思っていてもパートナーが反対するかもしれません。

「手洗いで十分じゃん。別に困ってないでしょ。値段もけっこう高いし」

といった具合に。

食洗機は経済的にも手洗いよりも有利です。

こちらのサイトによると食洗器を使ったほうが年間9000円ほどお得とのことです。

 

tagtag.hokkaido-gas.co.jp

 

手洗いにかかる時間と手間を考えれば買わない手はないと思います。

 

買う時の注意

自動給水式ではない食洗機を検討している人もいるかもしれません。

それはまったくおすすめしません。

毎回水を何リットルか人力で給水しなければいけないのはけっこうな手間です。

水道の分水はなんとかクリアして自動給水式の食洗機を買いましょう。

 

おわりに

冒頭でもいいましたが、食洗機は自由な時間を生み出してくれる機械です。

これを買わない手はありません。

僕は一人暮らしだったので小さいサイズを買いましたが、結婚して家族が増えるので大きいサイズのものにどこかのタイミングで買い替えようと思います。

 

 

 

 

kindleにはkindleの良さが、紙の本には紙の本の良さがある

kindleに興味があるけど買うか迷っているという人は多いと思います。

買ったはいいけどやっぱり紙の本との違いに違和感を感じて、使わなくなってしまったらどうしよう・・・。

そういう不安を感じるかもしれません。

僕も去年kindleを買ったのですが、それまでは本はだんぜん紙派でした。

たしかに実際kindleを使ってみて、紙の本とはちょっと違うな、というところはあります。

結論を言えば、紙の本には紙の本の良さがあるし、kindleにはkindleの良さがあるという感じですね。

利便性という視点で考えればあきらかに、

kindle>紙の本

だと思います。

今からその理由を説明していきたいと思います。

(ちなみに僕が持っているのはkindle paperwhiteです)

 

 

 

 

kindleのいいところ

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1.オンラインで買ってすぐに読める

一番はこれですね。

Amazonなんかで読みたい本を見つけた時に、買ってすぐに読み始められるというのはすばらしいです。

紙の本ではAmazonで注文しても届くまでに2,3日はかかります。

その間に読みたい気持ちが多少薄れてしまうかもしれません。

そうなってしまうと本を読み始めてもあんまり内容が入ってこない可能性があります。

読まずにそのまま積読ということもあり得ます・・・。

その点、Amazonでダウンロードしてkindleですぐに読み始められるのは、とても優位性があると思います。

自分自身が興味のあることについて熱を持ったまますぐに読み始められるというのはエキサイティングです!

 

2.値段が紙の本より安い

Amazonで紙の本と値段を比較すると、kindle版のほうがたいてい10%~20%ほど安いです。

本をたくさん読むことを考えると10%でも大きな違いです。

また、Amazon Prime会員である場合、kindleで無料でダウンロードできる本もけっこうあります。

中には読んでみたかった本もあるのでお得です。

 

3.ハイライト機能と検索機能が便利

大事だと思った箇所にハイライト機能でしるしをつけることができます。

指でなぞるだけで簡単にできます。

ハイライトした箇所は「移動」メニューの中にリストアップされて、あとからその箇所に簡単にジャンプすることができます。

また、ほかの人がハイライトした箇所もうっすらとわかるようになっています。

「○○人の人がハイライト」みたいな感じでうっすらと表示されています。

これが個人的にはけっこう好きです。

みんなここが大事なところだと思っているんだな、というのが一目でわかります。

「そういう機能はいらいない」という人は、設定で非表示にできるのでご安心ください。

それから、キーワード検索も簡単に行えます。

これによってキーワードから本の読みたい箇所を探すのが容易になっています。

 

4.読みかけの本もすぐわかる

途中で別の本を読みたくなる時もあると思います。

そんな時、kindleだと読みかけの本はどうなっちゃうの?という疑問もあるかもしれません。

大丈夫です。

kindleのトップ画面の「読書リスト」の中に何%読んだか(もしくは未読か既読か)というのがはっきりとわかるようになっています。

なので安心して途中で読むのを中断することができます。

 

5.カバンに入れやすい

これは紙の本に対してkindleの大きな利便性だと思います。

遠出するときなどに読みたい本を何冊かカバンに入れますよね。

でもそうすると荷物がかさばって重くなってしまう・・・。

その点、kindleであれば縦横のサイズも重量もマンガ本一冊程度なものです。

厚さは小冊子程度です!

その中に何冊も持ち運びすることができます。

そして、充電の持続性もとても高いので1週間くらい充電しなくても大丈夫です。

 

6.本の保管に困らない

これもkindleの大きな利便性のひとつですね。

紙の本はどんどん溜まってしまうので保管に困るようになります。

人によっては家に書庫室を作ったり(まあそれはそれで趣がありますが)。

その点、kindleは本何百冊分もその1台に保存することができます。

さらに、保存できない分はクラウド上に保存されるのでいつでもダウンロードすることが可能です。

 

7.寝転んで読みやすい

個人的にかなり気に入っている点です(笑)

紙の本は基本的に両手を使わないといけないので寝ころびながら読むのは難しいですが、kindleは片手で扱えるので横向きに寝ころびながら長時間本を読むことができます。

寝る前などはいつもこのスタイルで本を読んでいます。

 

紙の本のほうがいいところ

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1.本を読んでいるという実感がわきやすい

読書はやっぱり紙の本でないと!という人の気持ちもとてもわかります。

読書が好きな人は、やっぱり紙の本を開くときのわくわくや心の落ち着きも好きですよね。

あと本の手触りとか表紙とかページの間の匂いとか。

それに関しては紙の本の醍醐味のひとつだと思うので否定のしようもありません。

ただ、kindleも慣れてくると紙の本と同じように開くときのワクワクをなんとなく感じてくるものがあります。

kindleは紙の本とはまた違った親しみ深さを感じられるものとなっています。

Amazon創始者ジェフ・ベゾスが並々ならぬこだわりを持って作ったものですからね。

 

2.読みたい箇所に飛びやすい

kindleもハイライト機能や検索機能があるとはいえ、やはり紙の本のダイレクトに読みたい箇所を探す動きには勝てない場合もあります。

慣れてくればkindleでもページ移動がかなり速くできますけどね。

 

iPadではダメなのか

kindleを買うくらいならiPad買うほうがいいじゃんと思う人もいるかもしれません。

それはまったくおすすめできません。

iPadだと読書をしていても、ちょっとしたボタン操作でYoutubeTwitterなどを簡単に見ることができてしまいます。

つまり読書以外の誘惑が多すぎて読書に集中できないのです。

iPadで読書しようと考えている人はkindleにしましょう。

 

スマホ版やPC版のkindleもおすすめしない

同じ理由で、スマホ版やPC版も読書をしていてもすぐに別のことに気がとられてしまうのでおすすめできません。

kindleの操作がどんなものか試しにやってみる程度ならいいと思います。

ただし、実際のkindleとほかのデバイスはだいぶ操作性が異なるのでそこまで参考にはならないかもしれません。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

kindleの利点と紙の本のほうがいいところを挙げてきました。

僕のまとめとしてはkindleはだんぜん”買い”です。

しかし紙の本のほうがいい場合もあります。

上記に挙げた利点をふまえて、基本的にはkindleを使い、場合によっては紙の本を選択するのもありだと思います。

 

 

『熊とワルツを』を読み終えて思うこと

「熊とワルツを」

古典的名著である「熊とワルツを」を読みました。

そこから学んだことを僕なりにまとめていきたいと思います。

 

 

 

不思議なタイトルについて

「熊とワルツを」という一見ソフトウェア開発に関する本とは思えないタイトルですが、どういう意味なのでしょうか。

僕がこの本を開く(kindleですが)時にまず気になったことです。

読んでいくうちにわかりましたが、筆者たちは

熊=リスク

と例えています。

つまりソフトウェア開発とは、熊のような獰猛なリスクと楽しい時間をいかに過ごせるか、というのが重要だと言っているのです。

なんというか、多面的な見方ができるタイトルだな、と感じます。

森のくまさんと楽しく踊ろうという牧歌的なイメージも湧きます。

しかし、ふと気づけば熊はこちらをにらみつけて歯をむき出しているかもしれません。

そして次の瞬間には頭から噛みつかれるかもしれません。

そんなリスクと向き合いつつ(=一緒にワルツを踊る)、ソフトウェア開発を最後までやりきる方法を、具体例を交えながら教えてくれる本です。

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僕とワルツを踊りましょう

 

リスクとは

人は信じたいものを信じてしまう

まず、人間の性として、人は真実よりも自分が信じたいものを信じやすい傾向にあります。

そして、それが集団の同調圧力や上層部からの納期の催促があるような状況では、より顕著な特徴となります。

その結果、後から見ればどう考えても無理な計画だったのに、その当事者でいる間は視野がとても狭くなり、信じるべきでないものを信じてしまうのです。

その信じるべきでないもの、それこそがリスクの温床です。

 

ソフトウェア開発におけるリスクの定義とは

ソフトウェア開発の計画を阻害する要因となりうるもの、そのすべてがリスクであると言えます。

それは

  • 技術的な障害であったり
  • スケジュールの急な変更であったり
  • 仕様が途中で変わるという根本的なものであったり
  • 誰かキーパーソンが仕事を辞めてしまうかもしれない

ということであったりします。

 

リスク管理とは

リスク管理とは、”将来起こりうるできごとで、望まない結果を生むもの(=リスク)を管理する”ことである。

リスク管理は、問題が実際に発生する前の、抽象概念の段階で対策を考えるプロセスです。

リスク管理の反対を「危機管理」といい、問題が発生したあとに何をするべきか考えることを意味します。

リスク管理と危機管理を混同してはいけません。

 

リスク管理を怠った実際の事例

デンバー国際空港の事例

アメリカで有名なソフトウェア開発の失敗として常にデンバー国際空港の事例が挙げられます。

コロラド州デンバー市は、1988年に新空港の建設に着手した。

新空港が完成すれば、コストを削減でき、環境汚染や航空便の遅れは軽減され、今後の成長も保証される。

新しい空港となるデンバー国際空港(DIA)は、1993年10月31日に開港する予定だった。

それが当初の計画である。

 

しかしけっきょくのところ、ソフトウェア開発者たちの遅れのせいで空港は開港できなかった。

最終的に開港できたのはなんと1995年になってからです。(しかもこれも部分開港)

それまでの間、莫大なお金はゴミ箱に捨てられていくことになったのです。

ことの顛末は以下のとおりです。

「自動手荷物処理システムが完成しないため開港できなかった」

以上。

新聞や雑誌がソフトウェア開発の失敗として書きたて、いまでも「DIAの自動手荷物処理システム」といえば、ろくでもないソフトウェア開発プロジェクトの象徴になっているそうです。

 

しかし、筆者たちは問題の別の側面を見ています。

それがリスク管理の問題です。

 

DIAのリスク管理

DIAのリスクマネージャーは、「もし自動手荷物処理システムが間に合わなかったら」というリスクを管理していなかった。

そのために自動手荷物処理システムの遅れが計画に致命的な影響を及ぼしました。

「もし自動手荷物処理システムが間に合わなかったら」どうするべきか、考えていればそれも計画の中に入ってきたはずです。

具体的には無人運転(有人でもいい)の荷物運搬できる車のとおるトンネルを用意しておくことができたはずです。

しかし現実には、自動手荷物処理システムが遅れるかもしれないというリスクを管理していなかったため、荷物運搬者がとおるトンネルを作ることは設計に考慮されていなかった。

そのため、自動手荷物処理システムが遅れるとわかってから、二の矢を放つことができず、ただ手をこまねいて遅れていくしかなかったのです。

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リスクは避けられるものではない

リスクを避けようとするのは間違いです。

リスクを避けようとする行為は、リスクを目に見えないところに追いやるということを意味します。

目に見えないところに追いやったとしても、リスクは突如としてやってくるものです。

なのでリスク管理においては、リスクは避けようとするのではなく、いかに向き合って付き合っていくかが大切なのです。

リスクを避けようとするのは現実逃避に他なりません。

リスクと楽しく付き合っていくこと、それが「熊とワルツを」ということなんですね。

 

リスクと向き合うには

考えられるリスクをすべて検討する

  1. まずプロジェクトが始まるときに、開発にたずさわるソフトウェア開発者をみんな集めてリスクについて意見を出し合う
  2. 1時間以上の時間をかけて、お菓子を食べながらなど、気楽な空間を作りながらみんなで考えられるリスクをどんどん出し合う
  3. そしてそのリスクがどんな結果につながるかみんなで考えていく
  4. リスクの時間的、資金的な影響度を見積もる
  5. リスクが発生し始めた時の対応策を決めておく

これがリスク管理プロセスです。

僕も次のプロジェクト開始時にはこれをやろうと思います。

 

リスク管理を確実に履行する

けっきょくこれができなければ何の意味もありません。

リスクが実現したり終了したりしないか監視し、実現したときに危機対策計画を実行します。

また、あとから新しいリスクが生まれることも考えられます。

その時に備えてリスク発見プロセスは継続しましょう。

また、本の中にはリスクを踏まえた計画を定量的にグラフ化し、リスク図として表現したり、製品リリースまでのリスクを踏まえた見積もりの出し方を提示しています。

そちらも非常に参考になるのでぜひチェックしておくべきです。

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ちなみに

本の最初に日本版の序文が書かれていますが、

みずほ銀行のシステム統合直後の障害で、社長がたびたび報道陣の前で頭を下げる光景はいまだに多くの人の記憶に新しい

ということが書かれています。

この序文が書かれたのはいつだろう、と確認してみたら2003年のことでした。

いまから18年前のことなんですね。

2021年現在もみずほ銀行はシステム障害を頻発して、信用を失いつつあります・・・。

ソフトウェア開発を軽く見てリスク管理してこなかったツケが回ってきている感じがあります。

おわりに

この本は18年前に書かれたものですが、いまのソフトウェア開発でも十分通じる内容ばかりです。

ソフトウェア開発におけるリスク管理というのはいつまでたっても大きな課題なのですね。

まだ読んでいない人は、ぜひこの機会に手に取ってリスク管理と向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

割り込み業務がめちゃくちゃ多い開発現場はカンバン方式でタスク管理するべきか

僕は機械メーカーで組み込みソフトウェアエンジニアをやっており、今は新製品開発プロジェクトに所属して毎日ゴリゴリと開発をしています。

プロジェクトは主にメカ、電気、組込ソフトの3部門の人間で構成されていて、僕は組み込み部門の設計リーダーをしています。部下が4人いる状況です。

非常に忙しい部門なのですが(だからこそ)、業務の管理方法として”カンバン”を取り入れることに決めました。

目次

 

なぜカンバンを取り入れたいか

他部門からの依頼がめちゃくちゃ多い

とにかく他部門からの依頼がとても多いです。

それも納期が「今日中」などがポンポン来る感じですね。

依頼を受ける部門は、メカや電気部門も含めて5部門ほどあります。

そのそれぞれからの依頼(業務支援)をやりつつ、本来の開発業務も進めるという感じですね。

どう考えても組み込みエンジニア僕含めて5人では少ないのですが・・・そこはもうどうにもなりません。

他のプロジェクトも似たり寄ったりな状況なので(笑)

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とにかくやることが多くて忙しい



Redmineで管理しているが・・・

いまのところRedmineというプロジェクト管理ツールを使用しています。

Redmineでは担当者とか納期とかを決めてチケットを発行して、状況に応じてチケットのステータス(未着手、進行中など)を変えたり、進捗率を入れておくことができます。

各作業者の作業状況を把握するのにはなかなか便利です。

しかしこれがいまいちうまく運用できていません。

一番の問題はやはり、割り込み業務がとても多いというところです。

Redmineでせっかくスケジュールを決めておいても、割り込み業務がどんどん入ってくるので、たいていの場合そのスケジュールどおりには進みません。

そうなるとRedmineのチケットの納期を変更したりする必要が出てくるのですが、それがだんだんめんどうくさくなって嫌になってしまいます。

割り込み業務が発生するたびにRedmineのチケットを見直さないといけないのは、時間的にも精神的にもつらいです(笑)

 

そこでカンバン!

そこで「カンバンを使うのがいいんじゃないか?」と思いました。

いままでカンバンを使ったことはほとんどないのですが・・・。

視覚的にわかりやすい

カンバンは視覚的に今やっていることがとてもわかりやすいはずです。

(ワークフローが物理的に目に見えているから)

割り込み業務が発生しても柔軟に対応できる

割り込み業務が発生しても付箋を一枚貼り付ければそれでタスクが管理下に置かれたことがわかります。

たぶんうちの部署の場合、割り込みが非常に多いので、本来の業務用のワークフローとは別で、割り込み専用のカンバンカテゴリを用意しておいたほうがいいでしょうね。

まあ詳しいことはもう少しカンバンについてもう少し考えてから決めたいと思います。

各作業者が今何をやっているのか把握しやすい

Redmineはチケットのステータスが「作業中」となっているかどうかで作業者が何をやっているか判断できますが、割り込み業務が多いと何度も中断したりするのでけっきょく「彼は今何をやってるんだっけ?」というのがよくわからなくなります。

(たぶんほかの作業者たちも同じ気持ちだと思います。)

その都度確認するのも時間の無駄というものです。

その点、毎朝みんなでカンバンを確認するという方法に変えれば一目でその日のそれぞれの業務がわかるようになります!

 

他部門に対して見える化したい!

実はカンバンを使って見える化したい理由はほかにもあります。

それは・・・「他部門に対して見える化したい」ということです。

以前から僕が愚痴のようにこのブログに書いていますが、他部門から組み込みエンジニアへの敬意と理解がぜんぜんないのです!

なぜそうなのかというと、一口に言えば

「他部門からすると組み込みの仕事は何をやっているのかわからない」

からだと思います。

基本的に組み込みエンジニアはパソコンの前に座っていることが多いので、よそからすると視覚的に何をしているのかわかりづらいです。

(僕自身、他のプロジェクトの組み込みエンジニアが何をしているのか全然知らないですし)

まあ人間の心情として、何をやっているのかよくわからない人たちとはそんなに関わりたくないし、敬意も払わないですよね・・・(泣)

その結果、概して組み込み部門の社内での評価は低いです。

何をしているのかわからないんだから現状ではしょうがないのかもしれません。

当たり前に機械が動いているときは誰も組込のことを意識したりしません。

何か原因不明のエラーが発生したときは真っ先に「組み込みのバグか!?」と疑われます。

いつも理不尽だなあと感じています。

・・・おっと話がだんだんそれてきてしまった(笑)

 

とにかく、他部門に組み込みの仕事を少しでも理解してもらいたいというのも、カンバンを使いたい一つの大きな目的です。

なので使用するカンバンボードはPCのツールではなく、実際のモノとしてのカンバンです。

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カンバンで誰の目にも見える化したい・・・



どうやってカンバンを取り入れていくか

プロジェクトリーダーと組み込み部門の部長に伝える

まずは上司たちに伝える必要がありますが、二人とも僕のやることにはわりと信頼をしてくれる人たちなのでたぶん大丈夫だと思います。

「割り込み業務が多いからカンバンという方式で、各作業者の業務を見える化していきたい。ホワイトボードください!」

と言います。たぶんこれで大丈夫です。

 

僕の部下たちに伝える

実際にカンバンを使うのは、僕と僕の部下たちですからね。

ここは使う意義をしっかりと伝える必要があります。

幸いにもみんな言うことをよく聞いてくれる人たちなのでそれほど心配はしていません。

  • 割り込み業務が多いのをうまく管理するため
  • 他部門にも仕事の見える化をしたいため

この2つの利点をしっかり伝えれば、みんなでカンバンを運用できると思います。

カンバンの運用は独りよがりでやってもまるで意味はないと思うので、みんなで楽しく使っていきたいです。

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みんなで楽しくカンバンライフだ!



ワークフローへの落とし込み

これから考えていきたいと思います。

カンバンを業務に適用させるときは、それぞれの現場にあったワークフローにする必要がありそうですからね。

うちの特徴としては、

  • 割り込み業務が多い
  • 一人の作業者が分析~実装~テストまでをこなすことが多い

ということですかね。

また別途まとめてブログで書きたいと思います。